対面人狼からネットの長期人狼にハマった話①

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…皆さんは、初めて人狼をやった時のことを覚えていますか?

私は朧げながら覚えていますが、当時のことを思い出すと恥ずかし過ぎて胸が苦しくなってきちゃいまして、堪らなくなると枕に顔を突っ込んで「オギャー!」と叫んでしまう程度に幼児退行を起こします。

今回は、私が屈辱の対面人狼を経て長期人狼というヘブンに辿り着いた時のお話をします。

 

私は学生で、ある演劇サークルに所属していました。

いつものように軽いストレッチを終えて、バレーボールをするのが日課になっていたのですが(この時点で活動内容が変ですが、演劇サークルというのはそういうことをやりがちです)、その日は主宰が「面白いゲームを覚えてきたから皆でやろう」と提案したのです。

私はいわゆる真面目系クズで、芝居の練習を少しでも多くやりたいタイプで、「主宰の提案するゲームはあんまり面白くない」などと言って目立つのも嫌だったので、無言で肯定とも否定とも言えない態度を取ることに長けています。その結果、心の内では早くお芝居をしたいなぁと思いながら、サークルのメンバーと共に人狼ゲームをすることになりました。

この適当な参加態度が、現在まで長引くオギャ発作を引き起こす要因になります。

主宰の説明は以下の通りです。

「…皆さんは、ある小さな村のホテルに集められた村人です。この村には人間に扮した狼人間、つまり「人狼」がおり、夜になる度に一人ずつ村人を食べていきます。村人は人狼を倒すため、人狼だと思う人を話し合いで一人決め、処刑することにしました。今から目を閉じてください。私が皆さんの背後を歩きますので、私に肩を叩かれた方、2名が人狼です。人狼になった方は自分が吊られないよう、村の議論を混乱させてください。1日の話し合いの時間は3分です。では、どうぞ。」

サークルのメンバーは10人。主宰以外は全員人狼ゲームを知らず、主宰はGM(進行役)です。

占い師も霊能者も騎士(狩人)もいません。ちなみに私は村人です。

初心者9人だけで何を話せっちゅーねんという感じですが、もうゲームは始まってしまったのです。普段は和気あいあいとしているメンバー間にも緊張感が漂っています。

この時、私は「なんだか良く分からないけど人狼っぽい人をでっち上げて自分が生き残れば良いんだな」と解釈しました。素でクズの発想ですが、生き残るためには仕方がないのです。


この時点で私が大きく勘違いしていたのは、人狼ゲームは空想に浸って役柄を演じることがメインではない」ということです。いわゆるRP(ロールプレイ)とも呼ばれますが、キャラクターを演じたり設定に忠実になるのは、ご飯にかけるふりかけのようなもので、人狼ゲームのご飯=主食たるべきは、「推理」と「ブラフ」、そして「説得」だと今は言えます。ただ、経験が乏しい当時の私は、ふりかけだけを装備してゲームを突破しようとしていたのです。

私は今までの妄想力をフル活用し、片っ端からでっち上げることにしました。

 

私「そう言えば私、Aさんが昨夜、目を血走らせながらホテルの部屋を抜け出すのをみたんです…きっと狼だと思います(震え声)」

A「えっ」

Aさんの(そういうのありなの?)という表情は今でも忘られません。

でもこれは仕方ないのです。だって、誰が人狼かなんて分からないんですから。
それ以降、議論が発展することはなく、なんとなくAさんが吊られました。

私「Bさんには昔、キバが生えていたんです…小さな頃、村の広場で一緒に遊んだときに襲われたことがあって…(泣き顔)」

B「えっと」

私もでっちあげなんてしたくはありませんが、これは演劇サークルの活動なので、芝居をすることは大切なトレーニングなのです。

私「Cさんは肉付きが良くて美味しそうなのに噛まれないなんて明らかにおかしいですよね」

C「それ言われちゃうとね(笑)」

これはもう見た目のまんまです。

 

こうして村人の私は、無事最後まで生存しました。

人狼役の二人だけを綺麗に残し、図らずも狼陣営の勝利に大貢献したのです。

吊られたメンバーとGMの視線がなんとなく痛かったです(今にして思えばGMは早よ止めろやと言えましたが、私も彼も経験不足でした)。

私はガチのリアル狂人として、人狼ゲームの一歩を踏み出したのです。

オギャー!

(続くかなぁ)